人気ブログランキング | 話題のタグを見る

業界の一部では死んだことになってるそうですが


by Count_Basie_Band
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

遅まきながら

遅まきながら、本当に遅まきながら昨晩「硫黄島からの手紙」を見た。
TSUTAYAのレンタルで、昨晩は先ず日本語版を見たのだが音声がヒドイ。劣化していてまるで聞こえない部分が少なくない。
それでもなんとかストーリーは追えた。

戦後、復員兵だったいろいろな先生たちに散々聞かされた話を、こうして劇映画の形式を通して見ると改めて事の重みを感ずる。
大日本帝国軍部の愚かさだ。
彼我の海軍力、空軍力の比較しようもない違いを知っている海軍、アメリカには500万台の自動車が走っているという事実を知っている栗林などの国際知識のある将校たちの意見に耳を貸さず開戦に突っ走り、それだけでは足りず、外国を知っているという理由だけでオリンピック選手から中学高校の英語教師たちまでをも戦死がほぼ確実な最前線に放り出してしまった愚かさだ。

一方、アメリカでは開戦の前後からドイツ語と日本語の教育を強化した。
敵国語の学習はギリシャローマの昔から戦争における常識なのに、大日本帝国は敵国語の使用を禁止した。

クリント・イーストウッド以下のスタッフが知っていたかどうか分からないが、この映画には出てこない最前線の状況と関連する役人たちの所業についても私たちは聞かされている。

末期になってかろうじて前線に供給される銃器は凄まじい代物だったらしい。
引き金を引くと銃弾は狙いとはまるで違う方向に飛んでいく。
しかし、銃弾が出るのはまだましな方だった。
弾丸を装填できない銃があった。
銃身に孔が開いていない銃、つまり銃身が「筒」になっていない銃も混じる。
だから内地からようやく銃器が届くと、最初の作業は銃身が筒であることの確認だった。

そんな兵器を調達していた役人たちは賄賂だけはしっかり受け取っていた。本物の札で。

今晩は英語版で細かい会話の内容を確かめるつもり。

ただし、悪い癖で、どうでも良い間違いに気づいた。
まず、襷(タスキ)に書かれた「愛国婦人会」の文字が毛筆ではない。サインペンに見える。
次に、壕の中で栗林がマイクから相当離れた位置で兵士たちに語りかけ、それが島内のスピーカーから流れる。当時のマイクはそんな性能ではない。昭和20年代末期ですら、マイクのスイッチをオンにしたまま隣の人と話しても大丈夫だった。チョット顔を横向けるだけで声は拾われなかった。校内放送のアナウンサーをしていた私が十分経験した事実である。だから昔の歌手はマイクの前で直立不動で歌っていたのである。
憲兵隊がある家庭に注意する場面で、家族全員が和服を着ている。これはあり得ない。女性は「もんぺ」、男は「国民服」だ。
日本側スタッフが指摘すべき間違いなのだが....
by Count_Basie_Band | 2007-06-27 10:37