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業界の一部では死んだことになってるそうですが


by Count_Basie_Band
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欠陥記事

2006年7月に以下の記事を載せている。

一番わかりやすそうなので7月26日の朝日新聞から引用する。
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 ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの翻訳者松岡佑子さん(62)が翻訳料収入について35億円を超える申告漏れを指摘された。スイス移住後も、日本で申告すべき「居住者」と認定された模様だが、松岡さんは異議を申し立てている。国際化が進み、富裕層が海外に住所を移す動きが目立つ中、「居住者」の認定をめぐる国税当局と納税者の攻防も激しさを増している。
 納税者にとっては、税率の低い国に住めば税負担が軽減されるが、日本政府にとっては税収減に直結する。こうした危機感から、国税当局は海外に調査権が及ばない困難さを抱えながらも、税務調査で生活の実態を明らかにし、日本に本拠があると認定できれば課税してきたとみられる。
(中略)
 所得税法の規定などによると、居住者とは日本国内に住所がある人を指す。住所とは生活の本拠をいい、判例では、住居、職業、親族の有無、資産の所在などの客観的事実を総合的に考慮して判定される。
 住民票を移し、海外での滞在が1年の半分を超えていたとしても、家や職場、扶養親族などが残っていれば、日本の居住者となることもある。
 しかし、松岡さんのように国内外の双方に住居を持ち、行き来して生活している場合、判断が難しく、最終的には両国の協議でどちらの居住者か決めることになる。
 富裕層の海外移住について、横浜国立大学大学院の川端康之教授(国際租税法)は「生活の実態が本当に海外にあれば租税回避とは言えないが、実際には形だけで、主な経済活動を日本でしている安易な節税策も目立つ」と指摘する。
 一方で、「税法上、居住者と非居住者の定義が抽象的すぎることもこうした事態を招いている一因だ。国際化で海外との行き来が増えることを考えれば、将来の混乱を避けるためにも、定義を具体的にすべきではないか」と話している。
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 どこかのテレビ局はスイスの税務当局に直接取材していた。「スイスの国内に住民登録しながら実際にはスイス国外で生活している人は大勢いるが、皆スイスに所得税を納入している」という意味の回答だった。
 ゼニに関しては世界一厳格で筋を通すスイスの税務当局と、万事「裁量」と「みなし」で決着を付ける日本の国税庁との全面戦争になりそうな気配だ。これは面白い。政党のトップ争いはもちろん、北朝鮮問題よりも面白い。


この件に決着が付いた。2007年6月12日(火)の朝日朝刊から抜き書きする。
**********************
(前略)
両国が松岡さんの実質的な居住国は日本だとする結論を出していたことが分かった。
(中略)
スイス居住者だとして「ハリー・ポッター」の巨額の翻訳料を日本で申告せず、代表取締役を務めていた静山社が翻訳料の20%の所得税を源泉徴収して国に納めていた。スイスで申告すれば、結果的に節税になる形だった。
(後略)
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「中略」から後がどうにもスッキリしない。
先ず「巨額の」という主観的な表現を無署名の記事で使うのは不適切である。
「代表取締役を務めていた静山社」の前に「松岡さんが」を入れるべきだ。
「国に納めていた」の「国」はどこの国なのか、この記事ではわからない。
「スイスで申告すれば、」と仮定しているから「日本国」に納めていたのか。
「日本国」に納めていたのであれば「35億円を超える申告漏れ」は20%の源泉徴収分に加えられる税金という意味になる。
スイスではまったく納税していなかったのだろうか。スイスに住民登録しているのだからスイスでの課税は免れられないと考えられるが、その点には記事は触れていない。
欠陥だらけの記事だ。だから人々は新聞から離れていく。
by Count_Basie_Band | 2007-06-12 14:32