業界の一部では死んだことになってるそうですが


by Count_Basie_Band
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血は水よりも濃いか?

タイトな仕事に捉まり、3日も更新をサボってしまった。
ネタがなかったわけではない。池田平太郎さんの「平太郎独白録 親愛なるアッティクス」(http://heitaroh.exblog.jp/)で少しコメントした、「産院で取り違えられた40代男性」の問題がずっと気になっていたのである。

私は「死後の世界の存在を信じている人」と「物心付く前に別れていても血族は識別できると信じている人」が苦手である。正直言うと気味が悪い。ビジネス上の都合があれば我慢するが、そうでなければ敬して遠ざかる。
私は物心ついたときから「死後の世界の存在」も「物心付く前に別れていても血族は識別できること」もウソだと両親から教わってきている。
更に高校時代に大好きだった先生から以下の話を聞かされ、両親によって植え付けられた私の信念は確固たるものになった。
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「人は死んだら取りあえず活動を停止した有機化合物になる。脳の活動が停止したら何も認識できん。火葬したら残るのはタダの鉱物や」
「通夜、葬式、何回忌、墓参りは、全部、生きとるもんの気休めか、見栄か、権力誇示のためにやっとるだけや。何を言うても鉱物に認識されるわけがない」

「夫婦、親子、兄弟姉妹が親しいのは長年一緒に暮らすからや。血のつながりなんて関係ない」
「何十年も会ってない肉親を識別するのは不可能や。まして生まれてすぐ別れた親子や、別れてから生まれた弟や妹を認識できるはずがない。不可能やから願望が生まれる。その願望があるから『瞼の母』がいつまでも好かれる。西洋にも同じような小説や芝居がある。同じ願望があるからや」
「何かの理由で肉親であることがわかっても、それから仲良く暮らせるかどうかは別な問題や。別れとる間にそれぞれ自分の価値観が固まるからや」
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だから私は。例の男性が本当の両親を探しているとの報道に特に興味を抱いている。そして「産院での取り違え」について「平太郎独白録 親愛なるアッティクス」で次のようにコメントした。
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長男は、当時日本一巨大とされていた産院で産まれたのですが、当時のIDは足の裏にサインペンで書く番号だけ。まず変声期が過ぎても両親のような低音になりません。髪の毛は両親のような縮れっ毛になりません。シルクヘアで40歳を過ぎても後退しません。そしてオヤジより身長が低いのです。怪しいでしょう。
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1945年までは、日本では妊った妻を置いて戦地に駆り出され戦死するというケースが珍しくなかったのであるが、厳格な「家」制度の社会だったので戦死者の兄弟に独身者がいればその男性と再婚する。そして産婆に口止めし、新しい夫の実子として辻褄が合う日を出生日として届ける。したがって戸籍上も実子になったのである。
戦死者の兄弟ならばまだ血縁関係はある。戦死者が一人息子であれば他家から養子を迎え、子どもの実父に仕立て上げるケースもあった。その場合は血縁関係はないのだが母親以下の関係者が一生隠し通せば何も問題は起こらない。DNA鑑定技術はもちろんないし、血液型の組合せについても一般市民は知らない時代である。家庭の平和が維持される。たとえ母親か誰かが真実をその子どもに明かしたところで実父に会うことは不可能であるから、子どもは諦めて形式上の父親を父親として扱うしかない。
実は私の友人にもっと複雑なケースの男がいた。未婚の子ども、つまり私生児であり、母親が子連れで結婚した形式上の父親は赤の他人だった。そのことを高校生になってから知ったのである。途端にグレ始めた。そこで上記のセンセイが繰り返し説いて聞かせ、最後は育ての父親に感謝するようになった。

例の40代の男性は何を求めて実の父母を探しているのだろうか。自分と取り違えられた本人と会ったら何を言うのか。直接聞いてみたい。

繰り返す。
「何かの理由で肉親であることがわかっても、それから仲良く暮らせるかどうかは別な問題や。別れとる間にそれぞれ自分の価値観が固まるからや」
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by Count_Basie_Band | 2006-10-23 16:31