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業界の一部では死んだことになってるそうですが


by Count_Basie_Band
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嫌いな日本語

「何気に」「さりげに」「やむを負えない」などは論外として、近年定着したらしい日本語の表現で私の特に嫌いなものがいくつかある。

1.生き様
私の学生時代までは、「死に様」は普通に使われていた。「あんなヤツの死に様が見たい」といった表現である。「生き様」という言葉はいつ頃からだろうか。『広辞苑』に載っているのだからそれほど最近ではないようだ。

自分の過ごして来たぶざまな生き方。転じて、人の生き方。「すさまじい―」

やはり元々は「ぶざま」なのだ。私は直感で他人に使うと失礼にあたると思ったので使ったことがない。自分について言われたら腹が立つ。ある酒席で若い同席者が「センセイの生き様を見ていると...」と言ったので「オレの生き方はそんなにぶざまか」と切り返した。相手はきょとんとしていたので「辞書引け、バカ」と怒鳴りつけて私は退席してきた。

2.私的
「私的」という字を見て想起する英語は「private」「personal」だ。ところが近年では「As for me」の意味でも使われている。「私的には」という用法で、その場合は「ワタシテキ」と読むらしい。そして「自分的には」「当社的には」と広がっている。「私としては」「当社といたしましては」となぜ言わぬ。
もちろん、こんな用法は『広辞苑』にも、どの国語辞書にもないし、最新バージョンのATOKでも「わたしてき」は変換してくれない。

3.○○させていただきます

これについては
http://raven.air-nifty.com/night/2006/09/post_9a40.html
から引用する。筆者の名は不明。

東京外語大教授の井上史雄氏は、「~せていただく」が普及している背景を「敬意低減の法則」で説明している。敬意低減の法則とは、「ことばの丁寧さの度合いが、使われているうちに以前より下がり、乱暴に感じられる」ことだ。日本語の二人称代名詞がその典型である。「貴様」は、中世では武家の書面で使われる格調高いことばだったのが、19世紀初めに対等の相手への話しことばになり、現在は罵りことばにまで落ちている。

「~ていただく」の前身は、江戸中期に使われ始めた「~てもらう」である。このことばの敬意が徐々にすり減って、「~せてもらいます」では失礼な感じがするようになった。それを避けるために「~せていただく」が登場したという。
(中略)
さらに時代の変化も影響している。尊敬語や謙譲語は相手との関係を「上下」でとらえていた。身分制度が崩壊して全ての人が平等という考えが広まるにつれ、上下関係の敬語表現から、聞き手との親疎関係に応じて使い分ける「左右敬語」の時代になった。「~せていただく」は、左右敬語の代表である。

とはいえ、従来の敬語がそうであったように、過剰に使うのは禁物だ。私は、「~させていただきます」をたくさん使う相手には、「いちいち許可を求めなくてよい」と言い返したくなる。


最後の一行が、この表現に対する私の思いと一致する。実際に何度か言ったことがある。

なお、先日の秋篠宮家の出産の祭に登場した皇族関係者や宮内庁、皇室担当のジャーナリストは誰一人「○○させていただきます」を使わなかった。当たり前だが...

更に組織団体や役職名などの肩書に敬称を付けるのも大嫌いだが、この点については「文句を言いながら」(2006-8-6)に書いているので省略する。
by Count_Basie_Band | 2006-09-26 15:24